学習懇談会 in 旭川2025の藤田先生の講演後に行われた質疑応答から抜粋しました。
司会(もとまち皮ふ科クリニック 本間 大先生)皆さまご苦労さまでした。ここからは質問用紙にご記入いただいた質問に対し、藤田先生(旭川医大)、そして小林 仁先生(小林皮膚科クリニック、相談医)にも加わっていただき、時間の許す限りお答えいただきます。
Q 乾癬の病歴が長い場合、年齢とともに病状が悪化しやすい、あるいは逆に悪化しにくい、といった傾向はあるのでしょうか?
A(藤田先生)個人差が大きいと思います。ある調査によると、20年、30年という長い年月で見ると症状がほとんど消えてしまう患者さんが一定程度いることが分かっています。いっぽう、乾癬の関節炎では放っておくと炎症が進み関節の変形に発展してしまいます。
A(小林先生)昨年から今年にかけて、乾癬の会の皆さまにお願いして「お一人お一人の乾癬の経過」についてアンケート調査を行いました。そこで分かったことの一つが「乾癬の症状が一番悪くなったのは、乾癬を発症してから数年以内」であり、「半数以上の方で治療の有無にかかわらず乾癬が一度は消えてしまうことを経験している」ことでした。年齢、年月とともに乾癬は治まっていくようです。
A(本間先生)乾癬が重症な方では、全身に炎症が起こっている状態なので、炎症を早く鎮める必要があります。早く強力に治療した方がその後の乾癬の経過を軽くすることができ、合併症の頻度を減らすことができます。
Q かゆい部分を引っ掻くと一時的にかゆみは治まりますが、またすぐにかゆくなり、掻きすぎて血が出ることがあります。なぜかゆみは起きるのでしょうか?
A(藤田先生) 乾癬の起こるメカニズムの中心部分に、かゆみを起こすサイトカインは含まれていません。なぜ乾癬のかゆみが起こるのかまだ十分に研究が進んでないのが現状です。私の想像としては、乾癬の表面はカサカサしてバリア機能が悪くなっており、いろんな刺激が皮膚の中に入り込みやすいため、かゆみを感じる神経、かゆみを引き起こす化学物質が刺激されやすいと考えます。このため乾癬の表面にはやさしく軟膏を塗ったり、また衣服もやわらかい素材を選ぶのが良いでしょう。
Q 注射のお薬はやめられますか?乾癬は治りますか?
A(藤田先生) 注射治療で乾癬がすっかり消える方は大勢おられます。注射治療を続けたほうが良い状態を維持できるのですが、患者さんの希望・都合により中止することもあります。その後を観察していると、7~8割の方では1年以内に乾癬がぽつぽつと出て広がっていきます。乾癬の皮膚の中にはどうも乾癬の素となる細胞が住んでいるのではないか、という研究が始まっており、この細胞を抑えることで乾癬を完治させることができる時代が来ると期待されています。
A(本間先生)私の経験でも、注射治療でしっかりと乾癬を抑えると、たとえ注射治療を中止した後でも乾癬の勢いが弱まっていると感じています。
Q 講演の中で乾癬の皮膚では代謝の速度が10倍になっていると聞きました。それだけ代謝が活発だと、エネルギーを使いすぎて疲れやすくなるということはありますか?
A(小林先生)それはないでしょう。ただ重症の乾癬の方、とくに膿疱性乾癬の方では、発熱や全身倦怠感が現れます。
A(藤田先生)ふつうの乾癬で疲れやすくなることはない、と私も思います。全身広範囲の乾癬、乾癬性関節炎の方では、全身の炎症反応が高まっており、疲れやすさにつながるでしょう。病院で血液検査を受ける必要があります。その他にも講演の中でお話ししたように、乾癬の方でかかりやすい合併症があり、たとえば糖尿病や心臓病が疲れやすさを起こす可能性がありますので、自覚症がある方はしっかりと診察を受けてください。
Q 頭の乾癬でフケに困っているが、フケは取り除いた方が良いのか、はがさないで薬を塗る方が良いのか教えてください。
A(藤田先生)皮膚から浮いているようなフケは洗い流してください。しっかりとこびりついたフケをはがそうとしたり、引っ掻くと容易に血がでてきます。こうした刺激は乾癬を悪化させます(ケブネル現象)ので無理やりはがさないようにしてください。頭の乾癬は頻度が高いのに、髪が邪魔して薬が塗りにくいたいへん厄介な乾癬です。つらい場合には内服治療、注射治療を考えても良いのではないでしょうか。
A(小林先生)最近ではシャンプーと薬が混ざったものが発売されています(商品名:コムクロシャンプー)。頭全体にシャンプー剤をやさしく塗って、15分間待ったあと、シャワーで泡立てながら洗い落とすもので、たいへん使いやすく効果も優れています。
Q 暑い国では乾癬が少ないと聞きましたが、日光浴、適度な日焼けは乾癬に有用でしょうか?
A(藤田先生)おっしゃるとおりです。乾癬は夏に良くなり、冬に悪くなる傾向があります。イスラエルの死海では「死海療法」とよばれるプログラムがあり、塩分の濃い湖水浴と日光浴が乾癬によく効き、世界各国の乾癬患者さんが死海を訪れています。死海の海抜はマイナス430mで空気密度が高く有害な紫外線が少ないため、安全に日光浴を続けられるようです。日光浴では適度な日焼けがたいへん大切です。ヒリヒリ赤くなるまで日焼けすることは避けてください。
A(本間先生)藤田先生の講演の中で述べられた光(紫外線)治療は、日光浴が乾癬によく効くことから発展してきました。現在の紫外線治療機では有害な紫外線部分が取り除かれ、患者さんの皮膚の状態に応じて、紫外線量が決められています。紫外線治療でも、日光浴でも適量・適度が大切です。
司会(本間先生)そろそろ時間が少なくなってまいりました。まだまだご質問、あるいは症状についてのご相談があるかと思います。時間の許すかぎり個別にお話しさせていただきますので、終了後も相談にいらしてください。本日は、みなさまご苦労さまでした。ありがとうございました。

左から小林 仁先生(小林皮膚科クリニック)、藤田 靖幸先生(旭川医科大学)、本間 大先生(もとまち皮ふ科クリニック)